瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館|愛媛県松山市。和ガラスの展示、企画展。

和ガラスの美 令和7年7月~

切子霰紋四段重 1組 江戸時代
日本では「良いことが重なるように」「子孫繁栄」「五穀豊穣」との願いから、節句に段重が使用されてきました。全体を規則正しく霰紋のカットで装飾された四段重には、日本の食器としての美意識が感じられます。

江戸時代、「びいどろ」「ギヤマン」と呼ばれた和ガラスは、宴の席を涼やかに演出し、洒落者の装いや嗜みに華を添えました。
形も色もさまざまな徳利と盃。茶席の菓子器。秋の虫聴きに使われた虫籠。貴人の持ち物であったであろう櫛や根付。
食のうつわをはじめ住まいの道具、装身具など、美しく洗練されたガラスが並びます。

 

  • 型吹きしたガラスの裏から、凹部に密陀絵具(みつだえのぐ)で彩色している。おかめ、海老、蟹、貝尽し、鯉の滝登り、鯛に平目(天明元年 箱書)とすべて縁起の良い絵柄で、吉祥時に配られた盃と言われる。

  • 鶴が大きく羽を広げ振り向いた様子を表現したのか。金色をおびた江戸ガラス独特の黄色に、美しい雲鶴紋が浮かび上がる。元はガラス製の蓋付だったと思われるが、後世の持ち主が仕立てたのか、現在では木製の蓋がかぶさる。

  • 金地の硯箱の表面を装飾する色とりどりのビーズは非常に小さく繊細で、直径2㎜に満たない。 蓋を開けると、黒漆、朱漆、金蒔絵で山水人物図が描かれている。

  • 置物や文鎮などの意匠として、兎は当時の人々に人気があった。大きなガラスの塊を最小限の切子で表現しているが、足先や耳の細部に至るまで抜かりがない。後ろ姿も愛嬌たっぷりだ。

※会期中、一部展示替えを行う場合があります。