江戸時代の「びいどろ・ぎやまん」と呼ばれた和ガラスから、近代的な明治大正時代のモダンなガラスへと華開いた過程を、初公開の名品を揃えてご覧にいれたユニークで華やかな展覧会。透明ガラスの外側に赤色ガラスを被せ、日本独特のぼかし技法を用いて鱗や鰭(ひれ)を巧妙にカットし、見事に鯛を表現した「切子赤色鯛形皿」は、優れたカット技法、赤の発色の美しさ、ガラス質の良さによる、まさに明治大正ガラスを代表する名品です。
型吹きガラスとは、紋様を付けた土型、金型などにガラスを吹き込むもの。型に制約され不自由で窮屈と思われますが、大らかで美しい作品が多く、動物、植物など自然をモチーフにした鉢や段重、型跡の美しい素朴な向付など、お洒落で日本情緒あふれる感覚がうかがえます。また、型により揃いの皿や蓋物などを量産することで、数物の美しさや組み物の魅力を実感することができます。江戸時代の型吹きガラスは、日本独特の美の頂点に位置するものといえるでしょう。